国語教育デジタルポートフォリオ

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「一つの花」のあらすじをつかむ

校4年生の光村図書「一つの花」を読む。

「あらすじ」か「感想」のどちらかを書かせたところ、半数くらいが「あらすじ」を書いてきた。

ざっくり分けると、

・「一つだけ」と言って、食べ物をもらっていたゆみ子が、出征する父親に「一つの花」をもらってよろこぶ話

・母親や父親に大切にされていたゆみ子が、今はちいさなお母さんになって手伝いをしている話

・父親から一輪のコスモスをもらったゆみ子が、今はたくさんのコスモスにかこまれている話

というところ。

もう少し抽象化していうと、最初の1つは、前半の部分に焦点化し、最後はあらすじに含めていない、あとの2つは、最後の場面まで含めてあらすじにしている。

あらすじをつかむうえで、教科書の松永禎郎氏の挿絵を手掛かりにしてもよいかもしれない。

挿絵は全部で5枚

A いくらでもほしがるゆみ子に「一つだけ」と言って渡す母(p69)

B 「いったいどんな子に育つだろう」とゆみ子を高い高いする父と見つめる母(P71)

C 母におぶわれて父の見送りに行くゆみ子(P72)

D 泣きだしたゆみ子に一輪のコスモスを渡す父、それを見る母(P75)

E コスモスのトンネルをくぐって出ていくゆみ子(p77)

 

AとDは、ゆみ子が物をもらうということは共通しているが、母と父、食べ物と花、たくさんと一輪、家の中と外という違いがある。

また、DとEを比較すると、どちらもコスモスが登場するが、一輪かたくさんか、父がいるかいないかといった違いがある。

さらに、BとEを比較すると、どちらも笑顔のゆみ子だが、父のいるいない、自立していないかいるか、といった違いがある。

もちろん、対比することそのものが目的でなく、挿絵をてこに物語の展開をふりかえりあらすじを大きくつかむことがねらいである。