国語教育デジタルポートフォリオ

考えたこと、知り得たことをあれこれ記録

「ごんぎつね」教材分析(1)ストーリー

「ごんぎつね」は、光村図書をはじめ、さまざまな教科書にとられている定番教材です。教材研究の歴史も長く、さまざまな文献がありますが、子どもたちには、「つぐない」のために、兵十のところに毎日くりや松たけを持って行ったごんが、最後には兵十に打た…

「新聞」をつくろう

小学校4生の光村図書の教科書に新聞をつくる単元がある。これは、学習指導要領の3,4年の言語活動例に「調べたことをまとめて報告するなど、事実やそれを基に考えたことを書く活動」があり、そのまとめる形式として「学級新聞」が提案されていることによる…

「つなぎ言葉のはたらきを知ろう」

「つなぎ言葉のはたらきを知ろう」は、光村図書の小4の教材で、接続詞の働きについて考えるもの。 「次の( )には『だから』『しかし』のどちらが入ると思いますか。また、それはなぜですか」というのが最初の問いで、次の2つの例文が載っている。 (1)…

「一つの花」どうしてお父さんは「一つだけのお花」をゆみ子にあげたのか?

光村図書4年生の教材「一つの花」(今西祐行)、前回の課題が意外と難しかったので、今回はもう少しやさしめにする。 「どうしてお父さんは『一つだけのお花』をゆみ子にあげたのか」 本文から素直に読み取れることは ・ゆみ子がおにぎりをみんな食べちゃっ…

「一つの花」なぜゆみ子は「かわいそう」なのか?

光村図書の4年教材「一つの花」(今西祐行)の授業を進めている。 今回の主発問は「父や母は、なぜゆみ子を『かわいそう』と言ったのか?」 考えさせると、子どもたちが注目するのは次の箇所 「なんてかわいそうな子でしょうね。一つだけちょうだいと言えば…

「一つの花」の語り手

小学校4年生、光村図書の教材「一つの花」(今西祐行)、今回は語り手について。 「ゆみ子は、いつもおなかをすかしていたのでしょうか。」 「お母さんは、戦争に行くお父さんに、ゆみ子の泣き顔を見せたくなかったのでしょうか。」 「それは、あのお母さん…

「一つの花」のあらすじをつかむ

校4年生の光村図書「一つの花」を読む。 「あらすじ」か「感想」のどちらかを書かせたところ、半数くらいが「あらすじ」を書いてきた。 ざっくり分けると、 ・「一つだけ」と言って、食べ物をもらっていたゆみ子が、出征する父親に「一つの花」をもらってよ…

「一つの花」教材研究

光村図書4年教材「一つの花」(今西祐之)。定番教材だが、戦争平和教材としては現実を正しく伝えていないとして様々な批判がある。代表的なものとしては、 ・「ゆみ子とお母さんの他に見送りのないお父さんは」とあるが、当時の体制では出征する兵士を近隣…

「アップとルーズで伝える」(4)

小学校4年光村図書「アップとルーズで伝える」(中谷日出)は、写真とともに読む説明文です。テレビのサッカー中継を題材に、映像には「アップ」と「ルーズ」があること、それぞれ伝えられることと伝えられないことがあること、そのために送り手は、伝えた…

「アップとルーズで伝える」(3)

小学校4年生光村図書「アップとルーズで伝える」は、写真とともに読む説明文です。本文とも関わらせて、写真を「読む」活動が終わったところで、本文を改めて読んでいきたいです。 段落ごとの要点は次の通りです。 (1)写真Aの説明 こうふんをおさえて開…

アップとルーズで伝える(2)

小学校4年光村図書の教材「アップとルーズで伝える」(中谷日出)は、写真とともに読む説明文です。 写真を出てくる順番にA~Eまで記号をふります。 今日の授業では、写真Cと写真Dの比較をしましょう。 ありがたいことに、教科書では、この2枚が見開きにな…

アップとルーズで伝える(1)

小学校4年光村図書の教材「アップとルーズで伝える」(中谷日出)は、写真とともに読む説明文です。 本文中の写真は5枚。順番に記号を振ります。 写真A ハーフタイムの会場全体の様子 写真B コートの中央でボールをけろうとする選手の様子 写真C ゴール直…

「思いやりのデザイン」2

前回の記事では、光村図書小4の教材「思いやりのデザイン」の案内図ABの違いを考えさせることを提案した。 次の時間には何をするか? まず、ノートに書いた違いを整理したプリントを配り、確認をする。しかし、ただ確認するだけでは面白くない。私がまず取…

小4「思いやりのデザイン」

光村図書、小学校4年生の教材「思いやりのデザイン」は、「アップとルーズで伝える」の練習教材という位置付け。なので、「アップとルーズで伝える」で、どんな授業展開をするかを考えることが大切。 今回はその詳細は省くが、両教材に共通するのは、非言語…

文法的な条件での作文

文法、文の成分の授業というと、すでにある文の分析をすることが多い。文の成分について教えて、実際の文の分析をさせるのだ。もちろん、実際には、我々が日常的に生成する文は複雑すぎて、かなり制限された状態で行うのだが。 今回、構想した授業は、文法的…

「アイスプラネット」

光村中2の教科書に載っている「アイスプラネット」(椎名誠)。以前はいそうろうの「ぐうちゃん」(おじさん)の話を面白がっていたが、最近その話を「子供っぽい」「ばかばかしい」と感じ始めている「僕」。その話をうっかりクラスメイトにしてしまい「ありえね…

「にじの見える橋」

光村中1の教科書に載っている「にじの見える橋」(杉みき子)。 「具体的な形になっていないもやもやが、いくつもあった」少年が、雨上がりに虹を見たことをきっかけに、「初めて、自分のことを恵まれたものに感じ」るという話である。 では、なぜ、虹を見るこ…

コーパスを利用した授業(2)

コーパスを使った授業を進めるうちに、これまでの実践などを調べる気持ちになった。英語教育や日本語教育にいくつか実践論文があり、それらを読むうちに、その源流がイギリスのケンブリッジ大にあることが分かった。 ティムジョーンズという教授が、外国人に…

コーパスを利用した授業

コーパスとは、「言語研究に使えるようにあらかじめ整備された言語資料」をさす。具体的には、 ・研究の範囲を決め、資料を収集する。 ・利用しやすいように整備する。 ことがまず求められるので、索引付きの本文などもコーパスと言えなくもない。 また、今…

コーパスを利用した授業

コーパスとは、「言語研究に使えるようにあらかじめ整備された言語資料」をさす。具体的には、 ・研究の範囲を決め、資料を収集する。 ・利用しやすいように整備する。 ことがまず求められるので、索引付きの本文などもコーパスと言えなくもない。 また、今…

「星の花がふるころに」

勉強会で採り上げた、光村中2の新教材。以下があらすじ 「大好きだった」銀木犀の木の下に、友だちの「夏実」といれば「大丈夫」と思っていた「私」。中学に上がってもずっと親友でいようと約束していたのに、何時の間にかすれ違ってしまう。「夏実」と仲直…

語彙と書くこと

勤務校で、これから取り組もうとしているのが、語彙について学ぶことと書くこととを関わらせた授業。 例えば、光村の新教材「言葉を集めよう」。これはけっこう面白い。料理のすばらしさを伝えるための語彙を「味」「食感」「見た目」「香り」の各カテゴリー…

語彙力をつける

全国学力調査が始まったとき、勤務校の結果の分析を命じられた。 国語については、おおむね良好だが、語彙の力が弱かった。語彙の力といっても、漢字の書き取りなどは、むしろ良かった。私たちの実感でも、授業での辞書による意味調べなどは積極的に取り組ん…

掛詞

昨日の言語文化学会での国文学教授の発言「一度世に出したものは専門外のものでも間違いがあれば指摘される。」「それも本人が忘れた頃に指摘される」というのを思い出し、今書いている「掛詞」についての原稿について、もう一度アウトラインをつくってみる…

やさしい日本語

国語教材研究会。題材は「やさしい日本語」(佐藤和之 光村図書中2)。 日本にいる外国人に情報伝達するには、英語を始めとする外国語によるのがよいとされていたが、阪神淡路大震災の経験から、災害発生時には翻訳などの体制が整わないので、やさしい日本語に…

ポートフォリオ

教育界では,もうすっかり広まった(そして、あっという間に廃れた)「ポートフォリオ」という言葉。元来は,紙ばさみや折りかばんといった入れ物を指す言葉ですが,教育の世界では,それまでの標準化されたテストに変わって子どもの学びを真にとらえるため…